利他的行動
利他的行動(りたてきこうどう)は、進化生物学、動物行動学、生態学などで用いられる用語で、ヒトを含む動物が他の個体などに対しておこなう、自己の損失を顧みずに他者の利益を図るような行動のこと。理想的には、利益は適応度で計られる。行動の結果だけで判断され、目的や意図は問わない。利他的行動の進化は動物行動学などで長く議論の対象となっている。利己的行為の対義語としても用いられる。行動の進化の文脈では、同じ意味で協力行動が使われることもある。
利他行動の代表的な例が、親の投資と呼ばれる、親による子の保護や子育てである。雌親が子を守るために時には命懸けの行動を取ることは母性愛や母性的行動と呼ばれるが、雄親がそのような行動をとる場合もある。たとえばチドリなどの鳥では、天敵が卵や雛のいる巣に近づいた際に、親が囮となり、傷ついているかのようにその目の前に姿を見せ、遠くへ誘導する偽傷行動を行う。さらに極端な例としては、カバキコマチグモのように、雌親が子供に自分の体を食わせてしまう生物もいる。そこまで極端ではなくとも、親が子を保護する場合、それがほんのわずかであっても労力を割いているのは確実である。ヒトの価値観から見れば子育ては利他的とは見なしにくいが、自己の損失と他者の利益という利他行動の定義を満たしている。
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配偶者を守る行動も見られる。これは配偶者があってこそ自らの子が得られるので、間接的に自分の子を守る行動と同じと考えられる。しかし現在では雌雄間に利害の対立があることもわかっており、配偶者の保護が必ずしも利他行動と呼べるわけではない。たとえばヤドカリの中には交尾したあと配偶者をつかんで持ち運ぶ種がいるが、これはメスが他のオスと交尾するのを阻止する目的もある。